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縮みとしわ

縮みについて

一度しか着ていない、タンスに入れたままで一度も着ていない、ガード加工がしてあったのに袋が入った、縮んだなど、よく聞くお話です。反物を染め上げた後や織り上げた後の整理加工(ゆのしなど)により、引っ張られた状態が、湿度によって元に戻ろうとする時に起こります。 雨の日など湿度の高いとき、帯下などに汗をかいたとき、タンスの中の湿気を吸ったときなど、湿気が影響します。水に濡れることを防ぐガード加工(撥水加工)が施されたものでも湿気は防ぐことが出来ませんので縮むことがあります。
仕立ての前に、仕立屋さんが生地をアイロンで縮める作業(地のし・地直し)をして、狂いが少なくなるようにしていますが、それでも縮むことがあります。

袷の場合は表地と胴裏・八掛の収縮率が異なるために一方が縮んでもう一方縮みの少ない方が余って袋になります。

袋になった写真

表地が縮んで八掛が袋になっています。

胴はぎでつまむと八掛は袋にはなっていません。このことから、縮みは胴はぎより上、帯下あたりで縮んでいると思われます。

しわについて

お手入れに預かった着物の帯下や、膝の後に強いしわが付いていることがよくあります。このあたりはよく汗をかくところで、帯・腰紐で締め付けられたところや正座をすることでしわになっているところに汗の湿気を吸うことで、しわは取れにくくなります。強いしわを取るにはアイロンの熱だけでは取れず、ある程度の湿度が必要ですが、この湿度が縮みを起こすことにもなります。強いしわの場合は折れた筋が残ることがあります。
色の濃いものの中には、汗を吸った着物と帯がこすれ合って「スレ」ができ、帯下が白けて見えるものがありますが、中には着付け用のベルトのゴムが付いて、白く見えることもあります。